2006年08月29日

格差社会是正のためのアイディア、その1

格差問題うんぬん関連で。「アメリカ型社会だ、古きよきニッポンの利他の心なりおもいやりが廃れている」
という趣旨の発言をする御仁が少なからずいる。これは、明らかに間違いだ。
たとえばUSのドーネートインセンティブのような仕組みは、すぐにでも日本は真似できるだろう。
しかし、日本版ドーネートインセンティブを作ろうとする気配は全くない。
善意の寄付金はまず確実に節税につながる国や地方自治体が優先して持っていくし、
モノや土地の場合は、素直に受け取らないばかりか、追い金(贈与税等)まで負担させられる
始末の悪さである。

ドーネーションの仕組みを知らない無知な人間はいまやあまりいないと思うが、一応説明する。
簡単にいうと、金持ちがいらないモノを寄付(ドーネート)する。するとその伝票が貰えて、
それが喜捨の証明となり、そのぶん減税対象になるのである。
ベースがキリスト教的喜捨だから、心根が問題であり、対象物は広くとられている。
街中をちょっと歩けばいくらでもドーネットショップが規模の大小問わずに数えきれない
ほどある。砂漠しかないようなネバダにだってあるのだ。
そのため、誰でもが寄付することが気軽にできるようになっている。

だからシーズンになると大なり小なり寄付がガンガン行われるのだ。
いちいち価値うんぬんを問わない市場が大きいことで、本当に掘り出し物がたまにあるのも
嬉しいところで、古着バイヤーやアンティークディーラーの目の色が変わる時期である。
拾うほうも、工夫と努力で幾ばくかの儲けになる。
膨大な寄付の山。そこから何を拾ってくるかは目利きの腕次第なのだ。

ちなみに私はアメリカのアパートメント家具の全てを100$札一枚で
買いそろえた。すべてドーネート、USサーベーションアーミーを利用した賜物だ。
ソファひとつ、安いものでも数百$。新品の値段は別にアメリカだって
安いわけではないが、一方でこのように安いものが流通する仕組みがあり、
貧乏人が一応生活をおくれるようになっている。

所得格差の大きい社会は、たしかにアメリカ型社会だろう。
格差は昔からあった、騒ぎすぎだ、とい御仁もいいる。
確かにそのとおりだが、”格差社会”というのは、ただ格差を言ったものではない。
日本の社会システムが”格差が大きいことを前提にしない”からおきるのである。
日本の格差はたいしたことがあるかないかの議論ではなく、
まず格差の拡大した社会でどのように生き延びていけるのかを考えなければならなかった筈が、事例は極端なものばかりで、ともすれば生活保護だ福祉だホームレスだと、極端に収入が無い層のことしか目に映っていない。だが問題は絶対にそこにはないし、ましてや社会主義VS自由主義的なあほな議論に終始することに意味はない。結局、じりじりと給与が増える見込みもたたず、日々必死こいて働きながら、極端に給与を抑えられてしまった社会をどう生きるかの答えが出てこないでいる。というより、そこまでまだ議論が煮詰まっていない。

実は日本にもサーベージョンアーミーを名乗るところはある。
救世軍なんたらかんたらのバザーとかいうところが杉並区で細々とやっている。
しかし、そこに寄贈したとしても、寄付した側にはなんらいいことが無い。
非常に純粋な寄付になってしまっているので、USのそれとは全く違う。

逆に日本で寄付といえば、災害義捐金か、どこかから何億というお金がふってきて、
街にいきなり美術館が出来たり、老人ホームが山の上に建ったりするイメージが強い。
問題はその寄付先と使い道が、結局お上への上納と行政的な公益にしか使われない
ことで、寄付が富の再分配として全く機能していないのである。美味しいお金のあるところ
群がるモノの順列が決まっているって具合なのだ。

「たくさん稼いだものにたくさん収入がいくのはあたりまえ」
ではなく、「たくさん稼いで(金)たくさんモノを買って、たくさん寄付(モノ)したものは、
たくさん新たな収入(金)が得られる」
にしていくことは、少なくとも生活に必要なモノを直接的に安価にする。
食べられない美術館や道路や老人ホームになったりする無駄をしないのである。

無所得者・低所得者の増えている昨今であるからこそ、
古きよきニッポンの利他の心なりおもいやりといった抽象論や、
いつになったら効果が出るかわからない教育論ではなく、
合理的に寄付を通じて富の再分配が利他に繋がるシステムを社会が準備すべきだ。
日本版ドーネートインセンティブを導入することはアリだと思う。

しかし今度の自民党総裁候補にも、民主党にも、そんな気配はないなぁ。別にキリスト教に改宗する必要はないのになぁ。
posted by たま at 18:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事とか社会とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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